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冷房の部屋で、ブランケットにくるまる幸せ

白状すると、夏の夜、冷房をしっかり効かせた部屋で、薄いブランケットにくるまるのが好きだ。省エネの観点からは、たぶん叱られる。暑いなら冷やす、寒いなら温める、そのどちらでもない中途半端。でも、あれがいちばん落ち着くのだから仕方ない。

考えてみると、あの幸福感の正体は「選べること」にある気がする。真夏の熱帯夜、何もしなければ暑さに支配されるだけの夜を、自分の手で「少し涼しすぎるくらい」に整えて、そのうえで自分の意思でぬくもりをまとう。環境に振り回されるのではなく、心地よさを自分で編集している感覚。

ブランケットの中は、小さな個室のようなものだ。同じ部屋にいても、くるまった内側だけは自分だけの領域になる。スマホを置いて、本を一冊持ち込めば、そこはもう、どこへも行かない小さな旅先だ。

冬の毛布とは、意味が違う。冬のそれは寒さから身を守る必需品だけれど、夏のブランケットは、なくても困らないのにある贅沢。必要じゃないものに包まれている時間は、必要なものだけで暮らす時間より、なぜか心を満たしてくれる。

電気代には、少しだけ目をつぶる。そのかわり、他のところでつつましくやればいい。夏の夜のブランケットは、私が知っているいちばん小さくて、いちばん確実な「自分を甘やかす方法」のひとつだ。

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