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金曜はコンビニ新作の日

金曜の夜、仕事帰りのコンビニは、少しだけ景色が違って見える。蛍光灯の白さも、自動ドアの音も平日と同じはずなのに、金曜というだけで、どこか解放感が漂っている。私はまっすぐ、スイーツの棚へ向かう。

目当ては、新作をひとつ。値段にすれば三百円ほど。給料日でも、何かのご褒美でもない。ただ「金曜だから」という理由だけで自分に許す、ささやかな贅沢だ。

棚の前で「今週は何が出ているかな」と眺める数十秒が、たまらなく好きだ。定番の隣で「新発売」の小さなシールが光っている。来週にはもう入れ替わっているかもしれない。そう思うと、その一個が急に特別に見えてくる。

家に帰って、部屋着に着替えて、温かいお茶と一緒に食べる。写真も撮らないし、誰かに報告もしない。それでいい。誰にも見せない贅沢は、案外いちばん満たされる。

思えば、大人の楽しみというのは、こういう「自分で決めた小さな儀式」でできている。高価じゃなくていい。特別な日でなくていい。金曜のスイーツひとつで、一週間はちゃんと報われる。そう思えるようになってから、木曜の夜が少しだけ軽くなった。

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