スマホの連絡先を整理していて、ふと手が止まる。学生時代、あんなに毎日一緒にいた友達。最後に会ったのは、いつだっただろう。既読のついたまま止まっているトーク画面が、少しだけ胸を刺す。
疎遠になったことに、はっきりした理由はない。喧嘩をしたわけでも、嫌いになったわけでもない。就職して、住む場所が変わって、生活のリズムがずれて。「また今度ね」を繰り返しているうちに、その「今度」が来なくなっただけだ。
以前は、それを自分の薄情さのせいだと思っていた。友情を維持できなかった、自分の欠陥なのだと。でも最近は、少し違う考え方をしている。人間関係には、季節のようなものがあるのではないか。
あの頃、あの人たちと過ごした時間は、あの季節にしか咲かない花だった。それが枯れたのではなくて、季節が移ったのだ。今の自分には今の関係があり、あの頃の友情は、あの頃のままの形で、ちゃんと過去に保存されている。
そして不思議なことに、本当の友達というのは、数年ぶりに会っても、五分で昔の空気に戻れたりする。会っていない時間は、友情の欠損ではない。それぞれの人生を生きていた、それだけのことだ。
だから、会わなくなった誰かを思い出して少し切なくなる夜は、罪悪感ではなく、感謝で締めくくることにしている。あの季節を一緒に過ごしてくれて、ありがとう。元気でいてくれたら、それでいい。
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